遺産相続において、「相続トラブル防止」や「遺産分割対策」として「遺言書作成」は非常に有効な手段です。
なぜなら、遺言書には法的効力があり、遺産分割の方法をあらかじめ明示すことができるため、相続人同士の話し合いによる争いを未然に防ぎ、手続きを簡略化することができます。
本記事では、遺言書作成のメリットや具体的な活用方法について詳しく解説します。
1. 遺言書を作成してメリットがある人とは?
「遺言書を書いた方がいいのではないか・・・」と思いながらも、いまひとつそのメリットが分からないという方は多いと思います。
- 実際に遺言書を作成してメリットがある場合とは?
- また、遺言書を作成しなかったことにより生じるデメリットとは?
以下、遺言書を書いた方が良い3つのケースをあげてご説明します。
ケースその1
【お子様のいないご夫婦】

遺言書を書かずに亡くなると・・・
A夫が亡くなると、B妻とA夫の兄弟であるC太郎が相続人となります。
相続財産は、民法の条文に従って、B妻4分の3、C太郎4分の1の共有となります。
具体的には、A夫の預貯金が1,000万あったとすると、C太郎にも250万円(4分の1)を取得する権利が発生することを意味しています。
B妻とC太郎はA夫の生前から交流がありその関係が良好であれば、話し合い(遺産分割)によってどのようにも決めることができますが、C太郎とは面識もない間柄であった場合はどうでしょう。
金銭であれば、物理的に分けようもありますが、もしA夫の財産が1,000万円の自宅のみで合った場合には・・・・簡単に分けることもできません。
C太郎が強引に自分の相続分を主張することがあれば揉めるのは確実でしょう。
遺言書を書いた場合
もし、A夫が司法書士に依頼して遺言書を作成し、「自宅はB妻に相続させる」と一言書いていれば、B妻の生活の基盤は守られることになります。
仲の良いご夫婦であればあるほど、ご自身がいなくなったあとの配偶者の生活が心配ります。
配偶者の生活が安心して守られるように、お子様のいないご夫婦は遺言書を書くメリットが非常に高いといえます。
遺言書を作成することで、お子さんがいないご夫婦は配偶者の権利を守れる!
ケースその2
【内縁の妻等、相続人ではない方に遺産を残したい方】

遺言書を書かずに亡くなると・・・
A夫が亡くなると、C長男のみが相続人となります。この場合、内縁の妻であるB妻は相続権がありません。
どんなに長く連れ添った事実上の夫婦であっても、婚姻届を提出していないというだけで、民法上は相続人ではないと判断されます。
この場合、具体的には、A夫の財産は全てC長男が相続します。
B妻が独自に十分な生活資金を有していれば問題ないといえますが、もしそうではなかった場合にはB妻の生活はかなり不安定なものとなるでしょう。
しかも、A夫の財産が自宅のみで合ったような場合には、C長男が居住権を主張すれば、法律上、B妻は家を出る必要がでてきます。
この場合も、C長男との親子関係が良好であれば問題は生じないでしょうが、そうではない場合、A夫が死亡した後の内縁の妻の状況は非常に不安定です。
遺言書を書いた場合
もし、A夫が遺言書を作成し、「自宅は内縁のB妻に遺贈させる」と一言書いていれば、B妻の生活の基盤は守られます。
今回は、相続人ではない方に財産を譲りたい場合には遺言書を書くメリットが高いという例でした。
相続人ではない人に財産を渡す唯一の方法が遺言書です。
遺言書を作成することで、相続人以外の人に財産を渡せる!
ケースその3
【相続人の中に音信不通な相続人がいる場合】

遺言書を書かずに亡くなると・・・
A夫が亡くなると、B妻、C長男、D次男の3人が相続人となります。
仮にD次男が家を出たきり何十年と実家に戻らずとも、相続人には変わらないため、B妻とC長男の二人だけで遺産分割をすることはできません。相続人全員が参加しない遺産分割は無効とされています。
この場合、仮に、A夫が、「住宅はB妻へ、預貯金はC長男へ」相続させたいとの希望があり、B妻とC長男にも異論がないような場合であっても、D次男を抜かした遺産分割はできません。
代替手段として、D次男の不在者財産管理人の申立を裁判所に行い、不在者財産管理人との間で遺産分割するという方法もありますが、裁判所を通す都合上、手間も費用もかかります。
遺言書を書いた場合
もし、A夫が司法書士に依頼して遺言書を作成し、「自宅はB妻に、預貯金はC長男に相続させる」と一言書いていれば、A夫の生前の希望は実現され、B妻、C長男の希望に添った解決になります。
亡くなった後の遺産分割による合意が難しいケースでは遺言書を書くメリットが高いといえます。
遺言書を作成することで、遺産分割をせずに、財産の帰属先を決定できる!
2.法的効力があるのが遺言
遺言書には法的効力があります。
自分が亡くなった後に相続人同士で話し合いが難航しそうなケース、または、相続権がない方にも財産を渡したいそんな希望がある場合、自分の意思を伝える方法には、手紙などもありま。
しかし、単なる手紙には法的効力がありません。遺言書は、法律の力によって、その希望を実現する力が与えられているのです。
法的に有効な遺言書を作成するためには?
- 「公正証書遺言」を作成すると、家庭裁判所の検認が不要でスムーズに相続手続きが進む
- 「自筆証書遺言」は法務局で保管すると、改ざんや紛失のリスクがなくなる
- 法的に有効な遺言書を作成することで、相続人同士の争いを避け、スムーズに希望を実現できる。
3. まとめ|遺言書作成で安心できる相続を
- 相続トラブル防止|疎遠な相続人との争いを未然に防げる
- 遺産分割が不要|不動産・預貯金・株式などを被相続人が適切に配分できる
- 法定相続人以外にも遺産を遺せる|孫や内縁の妻に財産を渡せる
- 法的効力があるため、意思の実現可能性が高まる
相続の際に家族が困らないよう、早めに遺言書を作成し、トラブルのない相続を実現しましょう。