遺産分割協議書の作成

1 遺産分割協議を作るときに大切なこと

遺産分割協議とは、相続人全員が、「この不動産は誰に、この預金は誰に、この家財道具は誰に・・・」といったように、遺産の分け方を合意することです。

遺産分割で最も大切なことは、相続人全員が参加して合意をしたということに尽きます。

相続人の一部の者だけで遺産分割協議をすることはできません。

また、全員の合意があれば、本来であれば遺産分割協議書といった書面を作る必要ありませんが、後日のトラブルを防止する必要性、また、実際の相続手続きでは、法務局、銀行、証券会社から遺産分割協議書の提出を求められますので、現実的には書面として作成します。

 

2 遺産分割協議に期間制限はある?

遺産分割協議には期間制限は定められていません。実際に当事務所にも、20年近く前に亡くなった方の不動産がそのままなので名義変更の手続きをしたいという相談もあります。

しかし、相続税申告・納税が絡む場合には、事実上の制限があります。相続税申告は死亡日から10ヶ月以内にしなければなりません。

10ヶ月以内に遺産分割がまとまらないと、未分割のまま、法定相続分で相続したものとして税務申告が必要となりますが、その際には各種の減額特例が受けられないなどの不利が生じます。

したがって、相続税申告があるケースでは10ヶ月以内に遺産分割をまとめる必要性がでてきます。

また、相続税が不要な場合であっても、時間が経つごとに、相続人全員の合意は難しくなってくるのが現状です。下記のケースでは、合意が難しくなった典型例です。ですので、なるべく早いうちに遺産分割協議をすることが望ましいでしょう。

 

【相続人が増えてしまったケース】

3 合意ができないとどうなるか?

遺産分割協議が相続人の間でまとまらない場合の典型例は遺産相続争いに発展したケースです。これは、よくある話としてイメージしやすいと思います。

しかし、合意がスムーズにできないケースは実は他にもあります。

 

(1) 相続人の中に未成年者がいるケース

未成年者は遺産分割協議に参加できません。通常、未成年者の代わりは法定代理人である親が代理できますが、その親自体が相続人になる場合には、親が自分の立場と子の代理の立場と利益が反する立場に置かれることになるため、「特別代理人」を裁判所に選任してもらう必要があります。

【ポイント】

この特別代理人の選任審判を申立てると通常より時間と費用がかかることになります。

 

(2) 相続人の中に認知症の方がいるケース

これは最近多くなっている事例です。相続人が高齢で認知症の疑いがある場合には、原則的には、後見人等に就任してもらい、その後見人等が代理人として遺産分割協議に参加することになります。認知症以外にも、知的障害、精神障害があり、判断能力が十分でない方がいる場合にも同様です。

認知症のレベルがどの程度かは非常に微妙で難しい判断といえますので、まずは主治医の判断や診断を受けてみる必要があります。主治医から、後見・保佐・補助相当という診断がなされれば、家庭裁判所に対して後見等開始の審判の申立をする必要がでてきます。

【ポイント】

後見等開始の審判は、申立から審判がおりるまで数ヶ月は要するため、通常の遺産分割より時間と費用がかかることになります。

 

(3) 相続人の中に行方不明者がいるケース

相続人の中に音信不通、行方不明の方がいる場合であっても、その者を除いて遺産分割協議をすることはできません。

この場合には、「不在者財産管理人」といわれる管理者の選任を家庭裁判所に申立てる必要があります。不在者財産管理人が行方不明者の代わりに遺産分割に参加します。

このケースでも、認知症のケースと同様に、申立から審判まで時間がかかるため、通常の遺産分割より時間と費用がかかることになります。

 

(4) 遺産争いで合意がまとまらないケース

遺産分けで揉めてしまうケースは最も多いでしょう。

「自分だけが親の介護をしていたのだから多く貰って当然だ」

「姉は親に学生時代に多額の学費を出して貰ったのだから、遺産の取り分は少なくても良いのでは?」

「私は、土地が欲しい」「僕もその土地が欲しい」・・・・

相続人同士でうまく折り合いをつけて妥協していかない限り、完全に円満に合意に至ることは難しいかもしれません。

当事者間で話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所に遺産分割の調停を求めることになります。

調停は、裁判所で非公開の場での話し合いの手続きになりますが、結局は話し合いなので、調停が不成立となることも考えられます。調停でも合意ができなければ、最終的には審判といって、裁判官が強制的に遺産分割を決定することになります。

しかし、審判になったとしても、法定相続通りの分割となることも多いのが現状です。費用と時間をかけてどこまでやるかは相続人それぞれでしょうが、お互いがある程度の折り合いをつけて裁判によらずに遺産分割ができるのであれば、その方が亡くなった方も喜ばれるのではないでしょうか。

 

4 失敗しない遺産分割の書き方・作り方

遺産分割協議書の作成で気をつけなければならないポイントは4つ!

 

 ポイント1 相続人がもれていないこと

 

「1 遺産分割協議で大切なこと」でも説明したとおり、遺産分割には相続人全員が参加している必要があります。

遺産分割協議書の冒頭で、「相続人は○○、○○、○○の3人であり、この他に相続人はいない」旨の一文を入れることが必須です。

よく見る失敗例  

  • 認知した子を入れずに、遺産分割協議が無効になってしまった!
  • 遺産を全く貰わない予定の相続人は書かなくてもいいと思っていたため、法務局で登記ができなかった!

 

 ポイント2 財産がもれていないこと

 

財産がもれていないことも大切なチェックポイントになります。これには財産調査をしっかりやることが大前提ですが、万が一、後日、新たに財産が発見されたときに備えて、「本件遺産分割にない遺産が後日発見された場合は、○○が相続するものとする」旨の一文を最後に入れることが必須です。

また、財産はもれていなくても、その書き方を失敗したため遺産分割協議書が利用できなかったケースもあります。

よく見る失敗例  

  • 不動産の表示の仕方を間違い、相続登記ができなかった!

 

 ポイント3 「誰」と「何」が明示されていること

 

「誰が、何を、相続するのか」をきっちり明示することが大切です。文言は「○○は下記の遺産を取得する」「○○と○○は下記の遺産を2分の1の割合で相続する」といった振り合いで記載する必要があります。

よく、「あげる」「贈与する」「遺産は○○のものである」と記載された遺産分割協議書がありますが、相続した旨が不明瞭として、手続きが進まないことがあります。

よく見る失敗例  

  • 「下記の土地の所有者は○○に変更する」と記載してしまい、法務局で相続登記ができないと言われてしまった!
  • 「以下の預金は○○ものである」と記載してしまし、銀行から口座解約はできないと言われてしまった!

 

 ポイント4 形式面が整っていること

 

遺産分割協議書は相続手続きのあらゆる場面で各所に提出し利用していくものになります。中身を読んで内容が分かっても形式面で不備があると手続きが止まってしまいます。

特に、遺産分割協議書の押印は、実印が必要です。印鑑証明書と照合できる実印である必要があります。

よく見る失敗例  

  • 実印を押印した後に引越しをしたため、印鑑証明書が取得できなくなってしまった!
  • 陰影が不鮮明で、法務局から押し直しと言われてしまった!
  • 遺産分割が複数枚に渡るときに、契印を忘れてしまった!

 

5 当事務所の遺産分割協議書作成サービス

相続人調査・財産調査開始

相続アンケート

各相続人に、調査報告書として、作成した相続関係説明図財産目録を提示します。
その際に、アンケートとして、各相続人の遺産分割の希望を聞き出します。

遺産分割案文を作成

アンケートを基に、第1回目の文案を作成します。さらに、各相続人の意見を踏まえて修正を加え、第2回目の文案を作成しご提示します。
文章は間違いがないように、事務所内部で数回にわたり会議を重ねます。

遺産分割協議書に調印

各相続人に送付し、ご署名・ご実印の押印をいただきます。

各種相続手続き開始

法務局や銀行に対して相続手続きをします。

遺産分割協議書のご返却

手続き終了後、遺産分割協議書の原本を相続人代表者へご返却し、他の相続人の方へは写しを送付します。

 

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

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