相続放棄をおすすめするケース

1 相続放棄がされる理由は何が多い?

相続放棄の仕組みや流れがご理解いただけたところで、ズバリ相続放棄した方がよいケースはどういったケースか、また、実際問題としてどういった場合に相続放棄をしているのか事例をみていきます。

そもそも家庭裁判所がどういった理由の相続放棄を想定しているかは家庭裁判所の相続放棄申述書の記載例の中の、「放棄の理由」という箇所にヒントがあります。

記載例には、理由として、

  1. 被相続人から生前に贈与を受けている 
  2. 生活が安定している 
  3. 遺産が少ない 
  4. 遺産を分散させたくない 
  5. 債務超過のため 
  6. その他 

この6つの理由が印字され、そのどれかに○を付けることを要求しています。
すなわち、上記の6つを家庭裁判所は想定していると考えてよいでしょう。この中でも、
経験上○を付けるのは圧倒的に「⑤債務超過のため」です。その次に、「③遺産が少ない」、「②生活が安定している」が続いています。

2 相続放棄をお勧めするケースはこの3つ

(1)圧倒的に多いのが、債務超過の場合

やはりこのケースが相続放棄をする一番の理由になります。相続放棄をすることで一切の借金を相続しなくて良くなるのは最大のメリットです。プラスの財産が少なく、借金の額が多額である場合にはまず検討しましょう。

また、先の記事でも書いてあるように、単に被相続人に借金があるということではなく、被相続人が他人の保証人になっていたという場合にも、主債務者の経済状況や返済額によっては事前に相続放棄をして保証人の地位を相続しない方が良い場合があります。

(→借金を相続してお困りの方 へ

 

(2)遺産が少ない、生活が安定している場合

遺産(ここではプラスの財産)が少ない場合で、相続したい希望がない場合には、通常は相続人同士の遺産分割協議をする中で「自分は何も取得しない」という内容に署名捺印することが多いと思います。

しかし、どうせ相続しないのだからいち早く相続人の立場から抜けてしまいたいという方もいます。相続放棄をすれば、初めから相続人ではなかったことになるため、遺産分割協議に参加する必要はなくなります

 

(3)最近増えているのが相続人同士や被相続人との関係が疎遠な場合

親戚づきあいが減っている昨今、相続放棄の理由として増えてきているのが、「関わり合いを持ちたくない」といった理由でのみ相続放棄をしようとするケースです。

相談内容を聞くと、こういうケースでは、相続財産が多い少ないにはあまり関心がないようです。とにかく一度も会ったことがないような被相続人の財産はプラスであったとしても相続したくないと考える方も増えている印象です。

相続財産を取得するにあたり他の相続人と揉める可能性を心配したり、相続人同士でのやり取り自体を避けたいという希望が強い場合です。相続放棄をすることによって、関わり合いを持つことはなくなるでしょう。

 

(4)先順位の方が相続放棄をした場合

前の記事にも書いたとおり、相続には順位があります。

(→相続人の調査・戸籍謄本の取得 へ

先順位の方が相続放棄をすると、その時点で次順位の方に相続権が回ってきます。相続権が回ってくると、そこから3ヶ月以内に承認するか相続放棄をするか検討する必要があります。

これは、相続放棄をお勧めするケースとは少し違いますが、通常、次順位相続人は自己に相続権が回ってくるとは考えていないことが多いですが、先順位者がいる場合には、その者が相続放棄をすると自分が相続人となることがあるということを知っておきましょう。

先順位の方がなぜ相続放棄をしたのか、その理由によっては、自分も相続放棄を検討した方が良い場合があるでしょう。

 

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