1 生命保険と相続についての正確な知識
相続の相談を受けていると
・「生命保険もみなし相続財産として財産に含まれますよね?」
・「親が相続対策で生命保険に入っていた」
・「生命保険は相続税は非課税ですよね?」
といった質問を受けます。
「みなし相続財産」、「非課税」といったキーワードをどこかで聞いたことがあるという方は多いものの、その正確な知識を知っている方は多くありません。
ここで、生命保険と相続に関して知識を一度整理してみましょう。
2 まずは4つのケースのどれに当てはまるか?
生命保険を考える際には
- 被保険者は誰か?(誰に保険金がかけられているのか?)
- 保険契約者は誰か?(保険料を負担している人は誰か?)
- 保険金の受取人は誰か?
この3つを丁寧に読み取る必要があります。
(1)①被保険者=亡くなった方(父)、②保険契約者=亡くなった方(父)、③受取人=相続人(母)のケース
この場合、父親の現金が保険料として保険会社にプールされ、相続を契機に母に支払われるという流れから、相続税法上は「みなし相続財産」とされます。
本来、保険金は受取人固有の権利として相続財産ではありませんが、税法上は相続財産とみなされるため、「みなし相続財産」と呼ばれます。
もっとも、「500万円×法定相続人の数」の金額については、非課税枠が設けられています。本事例では、500万×2人=1000万円までは、非課税となります。
(2)①被保険者=父、②保険契約者=母、③受取人=母のケース
この場合、相続人である母が自らの現金をかけて、相続を機に自ら受け取ることになるため、一時所得として所得税の対象となります。
(3)①被保険者=父、②保険契約者=母、③受取人=子のケース
この場合、母の現金が、相続を契機として子に移転するため、母から子への贈与と同視されます。したがって、贈与税の対象となります。
(4)①被保険者=母、②保険契約者=父、③受取人=子のケース
この場合、被保険者が亡くなったわけではありませんので、保険金は支払われません。
保険契約者が死亡したことによる、契約者の名義変更が問題となります。契約者の地位も一種の財産権と考えられるからです。さて、この保険契約の価値ですが、死亡時における解約返戻金相当額とされるのが実務上の扱いです。
3 保険金が支払われるのは亡くなった方が被保険者であるとき
上の4つの例で検討したように、結論としては、亡くなった方が被保険者であったときにしか死亡保険金は支払われません。((1)~(3)のケース)
被保険者ではない保険契約者が死亡したときは、保険契約の名義変更の手続きになります。((4)のケース)
まずは、契約書がどうなっているのかを確認し、保険会社に問い合わせてみることをお勧めします。
4 保険金の請求期限と具体的な請求方法
死亡保険金の請求期限は3年としている保険会社が多いようですが、請求期限を過ぎてしまうことのないように、なるべく早く請求手続きを進めた方がよいでしょう。
具体的な請求方法
提出先 | 各保険会社 |
必要書類 |
|
費 用 | なし |
期 限 | 3年(保険会社により異なる) |
2週間程度で受取人の口座に保険金が入金される