遺言書の種類と比較

1 遺言書の種類は7種類もある

遺言書というと一般的に、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」が有名ですが、実は細かく分類すると7種類もの遺言の種類が法律に定められています。

まず大きく、①普通方式と②特別方式に分けられ、その中で様々な種類があります。

1  普通方式

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言

 

2  特別方式

  • 死亡の危急迫った者の遺言
  • 船舶遭難者の遺言
  • 伝染病隔離者の遺言
  • 在船者の遺言

②の特別方式の遺言は初めて聞かれる方も多いかもしれませんが、それもそのはず、特別方式の遺言は①普通方式の遺言が書けないような緊急事態(例えば、座礁した船舶の乗組員が船の中で遺言を書きたいという場合)に対処するために定められた例外規定だからです。

そのため、「遺言書作成を検討している」という方には関係しない遺言といえるでしょう。

普通方式の遺言の中の「秘密証書遺言」というのも聞き慣れない遺言かと思いますが、遺言書の内容を誰にも知られたくないが、遺言書の存在だけは明らかにしておきたいという希望を叶える遺言になります。

しかし、これも一般的にはほとんど利用されていない現実があります。なぜなら、遺言書の内容はご自身で自署・パココンで作成しなければならず、誰にもチェックもされないため、そもそもその内容自体に不備があり遺言書が無効となる可能性があるためです。

したがって、特段のご希望がない限りは、通常は「自筆証書遺言」または「公正証書遺言」の作成を検討することになるでしょう。

 

2 どっちがメリットあり?自筆証書遺言と公正証書遺言

ここでは、最も多く利用される「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」に絞って、両者の違いを検討してみたいと思います。

      自筆証書遺言      公正証書遺言
形式の違い 本人が全文を自署し署名押印する必要がある 署名押印は必要だが、全文を自署する必要はない
費用の違い 紙とペンと封筒があれば作成可 そのため、費用は特段必要なし 公証役場で公正証書にする必要がある
ため、公証人へ支払う費用が生じる
保管時の違い ご自身で遺言書を保管する必要あり→紛失・改ざんの恐れあり 公証役場で保管される
→紛失・改ざんはない
裁判所の関与 家庭裁判所で検認が必要
*検認についてはこちら
遺言書の検認手続き へ
家庭裁判所での検認は不要

自筆証書遺言の最大の特徴は、費用もかからず簡単に作成することができる点にあります。

しかし、遺言書の書き方については法律で厳格なルールが定められてあり、このルールに反した遺言書を作ってしまったことにより、その遺言書が無効になってしまう危険性があり、紛失や改ざんの恐れがあるために、結局は遺言を作った意味がなかったということにもなりかねません。また、実際に亡くなったあとの手続きで家庭裁判所での検認手続きが必要であるため、相続人に負担が生じるのが難点です。

公正証書遺言の最大の特徴は、自筆証書遺言と違って内容の不備により無効になる危険は極めて低く、公証役場で遺言書を保管するので紛失や改ざんの心配はありません。また、家庭裁判所での検認手続きは不要ですので、遺言書に基づいてすぐにその実現に取りかかれるのがメリットです。

しかし、公証人に支払う費用が必要になること、証人2人の立合いが必要になることから証人を探す必要があるため、費用の点からいうと、どうしても自筆証書遺言に比べて費用がかかる手続きになります。

 

3 やっぱりお勧めは公正証書遺言

遺言書を書く最大の理由は、自分が亡くなった後に相続人による争いを避けるという、いわば紛争の予防にあると思います。

したがって、第一に考えないといけないのは、遺言書が記載の不備によって無効にならないこと。

そして、遺言の内容が確実に実現されるように、紛失や改ざんの危険から遺言書を守ることが何より大切になります。

そうすると、必然的に公正証書遺言がお勧めということになります。当事務所でも、特に理由がない限りは公正証書遺言での作成を推奨しています。

しかし、費用を抑えたいために自筆証書での遺言を作成したいというご希望のお客様もおられますので、その場合には無理に公正証書を勧めることはありません。

遺言の内容、財産の内容などを相談時に伺いながらご希望に添う形で進めていきます。遠慮なくご希望をおっしゃってください。

 

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